いよいよ2015年も終わりに近づいてきました。
寒い夜、寒い部屋の中でぼちぼち読書しました。
『追想五断章』 米澤穂信
リドルストーリーという言葉を初めて目にしましたが、一つの作品の中にこれを五つも組み込み、かつそれぞれがストーリーとうまく関わるように練られていてただただ感心しました。
インタビューで米澤穂信さん本人が「基本的に私の書く物語は“間に合わない”んですよ。」と語られて得いましたが、確かに今まで読んだ米澤作品は、過去のとある出来事、つまり終わってしまった物語に主人公が現在の世界で関わり謎を解き明かす、というのが多い気がします。そしてそれが間に合わなかった人々の悲しさや切なさ、怒りなどの感情をより強く映し出して、他のミステリーにはない感情移入のしやすさに繋がっているように思います。
なんにしろこんな複雑なのにわかりやすい構成、ミステリーなのに謎解きだけでなくストーリーの面白さがある作品をたくさん出されている米澤さんはすげーなと思いました。