『気球クラブ、その後』 監督:園子温
とても良かったです。
園子温監督とえば、グロテスク、残酷、わずかに見える希望が僕のイメージ。
最近好んでよく観ますが、とにかく作品数が多いです。とりあえず手にした今作品は青春もの。大好物です。しかも気球というわりとマイナーな素材をクラブにしています。「冷たい熱帯魚」や「恋の罪」なんかも強烈な作品とはまた違う作風で振り幅がすごい、しかも良い。園子温監督は作品数も多くバイタリティも技術もあるんです。
大学に通ったこともないし、大人しい性格ですが、大学生特有のあのイキイキした飲み会のあの雰囲気が好きです。それをいい感じに撮られていて、それだけでとりあえず大満足。他の園子温監督作品でも見られる淡い色でやや輪郭がぼやけた、まるで酒に酔っているような、夢の中のような画質?が懐かしさを呼び覚ましてくれます。
大人になってもなお続く青春の延長線上から各々降りていきますが、その延長線上すらも青春と同様、生きる糧であるような気がします。
俳優さんもいい感じの方ばかりキャスティングされています。
主人公の深水元基さんは長身でかっこいいのに親しみやすそう。TVの「みんな!エスパーだよ」にも出られてました。
川村ゆきえさんは超可愛い!
なにより永作博美さん。ラスト付近、川村ゆきえさん演じるみどりとの会話。涙がこぼれながらも語り続けるあのシーンがこの物語のすべてだと思います。言葉にできませんが伝わりました。モチーフの『翳りゆく部屋』が沁みます。ユーミンオリジナルとエレカシバージョンが好きですが。
明るいだけの青春ものより、こういう痛みを感じるような青春ものがやっぱり大好きです。